ドン詰まり
※死ぬほど汚い話なので、お食事中の方など読まないほうが良いです。
Xデーは突如やって来る。
朝起きて、腹が痛いなぁと思ってお手洗いへ。
ここ最近、便秘で硬めな"君"しか出てこない。
この日も、大きく息を吸い込み息を吐き出すとともに下腹部に力を加える。
何日も溜め込まれた君は見事だった。
君を出し切った所で、何時ものように流す。
私はいつも、全てが流れきるまで見届けてからお手洗いを後にするようにしている。
それが、出し切った者としての責任だと思っているから。
しかし、今回は何かが違った。
そう、君が流れてくれないのだ。
ついにこの日が来てしまったか。と思った。
今のアパートのトイレは、実家、学生時代に住んでいたアパートに比べ、トイレが小さく水圧も頼りないものだった。
私は割とドッシリとした君を度々出してしまうため、前から薄々いつかこんな事になるだろうな。とは思っていた。
思っては居たけれど、特段方策を打ってこなかった。リスク管理が甘かった。
何かあってからでは遅いのだ。
何回か流すと、君の姿は見えなくなった。
ほっとしたのも束の間、次に水を流すと、便器から溢れ出そうなほど水がこちらに迫ってきた。
暫くすると、通常の水位に戻るのだが、この状態は明らかにおかしい。
詰まってやがる。
トイレの排水管はS字の形らしいのだが、
明らかにカーブ部分で君が流れを塞き止めているのが想像できた。
なんとか平穏なトイレライフを再開させたい。
その一心で、グーグル先生に解決策を伺った。
グーグル先生曰く、バケツに水を汲んで便器に流せば良い。と。
高めの位置から水を流すことで生まれた水流により、君が流れてくれるそうな。
早速試した。
バケツはないため、風呂の洗面器を代わりにした。
全く意味は無かった。
ふっつーにレバー引くのと変わらん。
暫くすると、また元の水位に戻った。たぶん5分は掛かった。
それだけ私の君はしぶといという事らしい。
この世にまだ何か未練があるのだとしか思えない。
グーグル先生曰く、これでダメだったらラバーカップを買え。との事。
ラバーカップだけは絶対に嫌だった。
こんな物にお金を使いたくないし、うら若き乙女のトイレにラバーカップなんて。
将来彼氏が出来たら絶対に引かれる。
それだけは乙女のプライドが許さなかった。
だが、現実は乙女の細やかな願いを聞き入れてくれるほど甘くはない。
何度も何度も洗面器に水を入れては便器に流すけれど、ウンともスンとも言わない。ウ●コだけに。
もう私は疲れた。
ほぼ一日中トイレに出ずっぱりだった。
もう買おう。
私は白旗を揚げた。
そしてホームセンターに赴き、ラバーカップを購入した。
300円程で買えると思ったけど、1000円もした。貧乏OLにはこんな事でお金を使うハメになるのは辛い。
家に帰り、早速新兵器を手に入れた私と君との戦いが始まる。
レバーを引き、水位を上昇させ、便器を水で満たす。
すかさずカップを垂直に突っ込み、空気の出し入れを行う。
先ほどの洗面器より、水位が戻るのが早く感じられた。
だが、まだまだ。
第1Rはお互い牽制し合ったままで終わった。
勝負が動いたのは第2R。
先のように、便器を水で満たし勢い良くカップを突っ込む。モリ突き漁師にでもなったかのような気分だ。
なんと、今度は一気に水が流れていった。
君が成仏した瞬間だった。
安堵した。
これで私のお手洗いに平和が再び戻ってきた。
ハリーポッターで言うなら、ヴォルデモートととの戦いに勝った位の達成感だ。
ロンとハーマイオニーがこちらに近づいてきて、私の肩を抱いて労いの言葉を掛けてくれるのだ。例のあの人はもう居なくなったのだ。と。
そう考えたらラバーカップはニワトコの杖だったのかな?とさえも思う。
とりあえず、トイレの詰まりラバーカップは最強。これでまたヴォルデモート級の君が来ても安心だ。